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「母に対する恩」

記事:布教師 上川 勝清

 私共のお寺で、五泊六日の霊跡参詣の旅行をした時のお話でございます。

 お寺を出発して三日目の夕方に、檀信徒のおばあちゃんが左足を捻挫して、歩くことが困難な状態になりました。私も心配をしていたところ、その夜、おばあちゃんと同行していた二人の息子さんが、お母さんと相談をした結果を報告しにと、私の部屋に来られました。おばあちゃんは、最後までこの旅行を皆様と一緒にお参りしたい、という強い意思なので、私達二人が母を背負って参詣をしたい、ということでございました。

 翌日からの参詣は、おばあちゃんを背負って坂を上る事もあり、とてもつらい旅であったと思います。やがて、五泊六日の旅も終りに近づいた頃には、捻挫した左足は随分と良くなってきておりました。

 この旅行で、おばあちゃんを背負って歩かれた息子さんの姿は、檀信徒の方々それぞれの心の中に、「親に対する恩」を強く焼きつけたことだと思います。

 今の世は、親との絆が薄れております。このような状況であるからこそ、ご家庭で「親の恩」「感謝」「報恩」という感謝の心を、学び、育てることが大事だと思います。

 日蓮大聖人は「十法界明因果鈔」の中で、「一切衆生・三宝の恩を報ぜんが為なり。父母は養育の恩深し。一切衆生は互いに相助くる恩重し」、さらに、「報恩鈔」には、「されば花は根にかえり真味は土にとどまる。この功徳は故道善房の聖霊の御身にあつまるべし」(建治二年七月二十一日)と、報恩感謝の大事なことを仰せでございます。ご一同様には、しっかりと、お題目をお唱えいたし、報恩感謝に努めましょう。

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