仏縁をいただき出家し、法華宗の僧侶となりました。仕事柄、実家に帰ることも少なく、ただひたすら布教に励んでまいりました。
つい先日、母の一周忌を迎えました。
「ああ、生きているうちにもっと親孝行しておけばよかった」と、心残りです。
日蓮大聖人『十王讃歎抄』にて、
「孝養に三種あり。衣食を施すを下品とし、父母の意に違はざるを中品とし、功徳を回向するを上品とす。存生の父母にだに尚功徳を回向するを上品とす。況や亡き親に於てをや。」
というお言葉を示されたと伝えられています。
これらのお言葉が意味するところは、衣食を施すことは親孝行の第一歩であり、親の意見に素直に従い、心配をかけぬよう努めることが次の孝行です。 そして最も尊い親孝行は、功徳を回向すること、すなわち善き行いを自らのためではなく、他者に振り向けることです。
私は法華宗のひとりの僧侶として、お題目信仰に志しています。お題目信仰は、私たちを真実に目覚めさせるための尊い善行です。 その善行を積むことで父の喜ぶ顔を見ることができるでしょう。しかし、亡き人に対しては、その喜びの反応を知ることはできません。 亡くなった母に、直接親孝行することは、適いませんが、法華宗の僧侶として法華経を広めていくことこそが、母への追善供養であると信じております。
皆さまにおかれましても、春彼岸・お盆・秋彼岸をきっかけに、ご先祖さまにお題目の信仰を捧げ、善き孝養を尽くしていただければと願っております。
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