仏教Q&A

煩悩と菩提

人間の歴史は煩悩の歴史だと言えます。
恋愛に悩み妬みに苦しむのも、また家庭での嫁姑の争いや、国の戦争もすべて煩悩から生じて来るものです。

煩悩の代表的なものはつぎの3つであります。

貪欲(とんよく) むさぼる心。衣食だけでなく、名誉・財産を貪る心。
瞋恚(しんに) 瞋り(いかり)の心。人に対してばかりでなく、周囲の動物、自然に対して怒る心。
愚痴(ぐち) おろかな心。世の中の道理が解らないので自分の思い のまま生活し、物事の善悪のみさかいがなくなる心。

この3つを「三毒」といいます。

日常生活を深く反省すると、必ずこの煩悩が心の中で渦巻いているのに気がつきます。これが苦しみや悩みのもとです。昔から人間はこの煩悩を断ち切ろうと努力してまいりました。

しかし、もともと「心」そのものは善でも悪でもありません。心が悪にはたらく状態を「煩悩」といい、善にはたらく状態を「菩提」というのです。煩悩は断ち切れるものではなく、おさえることによって心を良い方向へ向けるしかありません。ご馳走を食べ過ぎる(煩悩)とお腹をこわし、適当に食べる(菩提)と血や肉となって健康を増進します。「心」は時と相手によって煩悩となり菩提ともなります。正しい信仰によって「菩提の心」を高めるよう精進しなければなりません。


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