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『心の財第一なり』―JR脱線事故を振り返って

記事:宗務総長 竹内 正道

JR福知山線の脱線事故による大惨事が起きてから、連日マスコミで人命軽視の体質、利益中心の経営等その原因について報じています。この脱線事故により犠牲になられた多くの方に心よりご冥福をお祈りいたしますとともに遺族の方また事故に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。今回のJRは残念ながら、道徳よりも利益が先行していたと思えます。しかも最も悲しむべきことは、あらゆるところで人命軽視が見受けられるということです。

利益を上げることは資本主義の本質ですし、早く走る電車を開発し大量輸送することも結構ですが、人の生命を預かる企業として、何よりも最重視しなければならない道徳があるはずです。我々は今回の大惨事を教訓として「生命」を大切にする社会になるよう努めなければなりません。

利益を出すことも必要ですし、科学の発展も快適な生活をする為に必要なことですが、人間の欲望に限りは無くエスカレートする一方です。その欲望に任せ自制しなければ人間の尊厳を損なう恐ろしい社会が出来上がってしまいます。

世界の人口は今世紀末には百億人になると予想され、特に人口が爆発的に増加するとされている地域はアジアです。環境汚染はますます進み、戦争や核問題も身近に感じるようになりました。日本に目を移しますと、少子高齢化で経済的にも退化していき、これまでのような経済大国として発展する環境ではなくなりました。これからはあらゆる面で自制が必要となります。

社会の担い手である若い人口が減少することを国の崩壊とする主張もありますが、「頑張れ、生めよ増やせよ」の拡張に価値をおく社会よりも感謝と共存、他者を尊重する思いやりを大切にする社会を創っていかなければなりません。その為には「仏さま」の知恵を実践することが大切なのです。「大自然に生かされ、生きる存在としての自己」に気付くことです。

生きることは自分の思い通りに全てが出来るということではないので、仏教では四苦八苦の苦悩といっていますが、現在は社会があらゆる面で急激に変化しています。どの人も四苦八苦して生きており、特に「自己中心」で他人の迷惑を無視して生きている人も多く、極悪非道な事件も多発しています。

ことに奇妙な宗教が横行し神仏までもが悪用されるということまで起っています。身勝手な欲望を宗教信仰で手に入れようとして逆にその犠牲となる人もおおく、献身無き宗教、他者との共存共栄や慈悲を実践しない信仰は仏の教えと無関係であります。

 日蓮大聖人は『崇峻天皇御書』(すしゅんてんのうごしょ)で

蔵の財より身の財優れたり、身の財より心の財第一なり、此の文を御覧あらんよりは心の財をつませ給べし。一代の肝心は法華経、法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり、不軽菩薩の人を敬ひしはいかなる事ぞ、教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候ひけるぞ、賢きを人と云い、はかなきを畜という。

と御教示されております。常不軽菩薩はあらゆる人を敬い礼拝されました。それはすべての人が心の奥に持っている仏性(ぶっしょう)を自覚するよう礼拝されたのです。そこで私達は「仏さま」を信じ、人の悲しみのわかる慈悲の心を養い、自分の欲望を制御し、精神を穏やかに保ち、物事の真実を見抜く智慧を持つ事が出来る仏道を信仰し実践しましょう。

合掌運動というのは、お題目を唱え節度を守り、御仏を仰ぐ心をもち、まず家族が合掌しあうことから始め、ものを分かち合い慈(いつく)しみのある言葉で話し合うという事です。次に近所、友人達へ合掌しあう輪をひろげましょう。人との出会いは「不思議な御縁」によってできたのですから「もったいない」「ありがたい」の心で、気長く、心穏やかに「人も、ものも大切に、恥を知り忍耐強く」合掌しあう友をつくりましょう。

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