ミニ法話
法華宗真門流ホーム > ちょっと豆知識 > ミニ法話 > 「『御本尊』とは」

「『御本尊』とは」

記事:布教師 林 勝信

「御本尊」は信仰の所対であります。古来、本尊義には、
1、根本尊崇 
2、本来尊重 
3、本有尊形 
の三義があります。

 日蓮聖人の教示された本尊は、「妙法蓮華経」の名号を以て、主・師・親の三徳を具備せる久遠実成、無作三身の本覚の如来を拝し、信受口唱に依って仏位を継承する「本有尊形」を以て本義とするものであります。

 祖文(日蓮聖人の御遺文)に曰く、

 「ここに日蓮いかなる不思議にてや候らん。龍樹、天親等、天台、妙楽等だにも顕し給はざる大曼荼羅を、末法二百余年のころ、はじめて法華弘通のはた(旗)じるしとして顕し奉るなり。是全く日蓮が自作にあらず。多宝塔中大牟尼世尊、分身の諸仏すりかたぎたる本尊也。されば首題の五字は中央にかかり、四天王は宝塔の四方に座し、釈迦、多宝、本化の四菩薩肩を並べ、普賢、文殊等、舎利弗、目連等座を屈し、日天、月天、第六天の魔王、龍王、阿修羅、其の外不動、愛染は南北の二方に陣を取り、悪逆の達多、愚痴の龍女一座をはり、三千世界の人の寿命を奪う悪鬼たる鬼子母神、十羅刹女等、しかのみならず日本国の守護神たる天照太神、八幡大菩薩、天神七代、地神五代の神々、総じて大小の神祇等、体の神つらなる。其余の用の神豈もるべきや。宝塔品に云く『諸々の大衆を接して皆虚空に在り』云々。此等の仏、菩薩、大聖等、総じて序品列座の二界八番の雑衆等、一人ももれず此の御本尊の中に住し給ひ、妙法五字の光明に照らされて本有の尊形となる。これを本尊とは申す也」(日女御前御返事)

  大聖人は、大曼荼羅御本尊を法華弘通の旗印とされ、その中に思想、信条、信心のすべてを含む信仰の象徴とされました。これは、聖人自身の自作ではなく、法華経本門の虚空会上の儀相をそのまま引き出されたもので、地涌の菩薩としての内証に立たれ私たちに教えられたものであります。

 御本尊の中に住するとは、日蓮聖人と同じ境地に入って、成仏せよという我々凡夫大衆への大慈大悲の語りかけであります。一心に御本尊に対し「南無妙法蓮華経」と信唱受持することに心がけましょう。

 日蓮聖人は、文永10年(1273)7月8日、佐渡一谷(さどいちのさわ)において始めて大曼荼羅本尊を図顕されました。この御本尊は「佐渡始顕の曼荼羅」ということで大きな意義があり「始顕の御本尊」として有名です。聖人がしたためられた御曼荼羅は数多く現存しております。ちなみに、「一遍首題」のお掛け図も立派な御本尊です。尚、当流の御本尊として京都の法華宗総本山本隆寺に伝わる大曼荼羅御本尊は、大聖人の御弟子の一人、天目上人に与えられた「天目授与の御本尊」で特に有名です。

 また、大曼荼羅御本尊の他に、寺院のご本堂内陣に勧請されているものに、「三寶尊」があります。「南無妙法蓮華経」の法塔を中央に二仏、向かって左に「久遠実成大恩教主本師釈迦牟尼仏」、向かって右に「証明法華多寶如来」の座像で「三寶尊」といったり「一塔両尊」といいます。当流の三寶尊は、それぞれが一つずつの蓮台にのっているものでなく「一蓮華」を基本としています。

 当寺では、大曼荼羅御本尊を掲げ、その前に三寶尊を安置し、脇士に四菩薩像(上行・無辺行・浄行・安立行菩薩を安置しております。併せて、四天王像、不動・愛染明王像、文殊・普賢菩薩などを勧請しております。

 法華のご信者の皆様におかれましては、朝な夕なに御本尊様に手を合わせ、お題目をあげる日暮しをしていただきますよう御祈念申し上げます。

ミニ法話トップへ戻る

このページのトップへ ▲