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「お題目を伝えよう」

記事:布教師 安井泰信

 仏教の修行と言えば何を思い浮かべるでしょうか?水をかぶる水行、滝行?座禅修行?写経や山の中を何年も走りまわる千日回峰行などの荒行を思い浮かべる方もいるでしょう。

 日蓮大聖人の御遺文『崇峻天皇御書』のお言葉に「法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり」とございます。法華経の修行の肝心かなめは法華経の二十番目のお経、常不軽菩薩品ですよというお言葉です。

 あるところに一人のお坊さんがいました。このお坊さんはとても変わったお坊さんで出会う人に合掌して「私はあなたを敬います。決して軽蔑しません。なぜなら、あなたは修行をして仏様になることが出来るからです」と礼拝して歩きました。

 皆さんだったら偶然出会ったお坊さんに突然合掌されて「あなたは仏になることが出来ますよ」と言われたらどうでしょう?びっくりしますよね。本当に変な坊さんだなーと避けて通ると思います。

 お経の中でも、あなたは仏様になれますよと言われた人達はこのお坊さんを当然怪しみます。それでも、その人達の所へ行ってあなたは仏になれますと合掌します。すると中にはしつこいと怒る人やバカにされたと思ってののしる人も出てきます。それでもひるむことなく礼拝しました。しまいには、あまりのしつこさから石を投げる人や棒で叩く人も現れます。それでも、このような修行を一生続け、命が尽きそうになったその時、ついに法華経の教えを聞き、その教えを受持した功徳によって寿命が延び、広く法華経を説き続けることができたというお経です。

 このお坊さんはなぜここまで人々を拝んだのでしょう?日蓮大聖人は『観心本尊抄』で「不軽菩薩は所見の人において仏身を見る」とおっしゃり、このお坊さんの目には出会う人々がすべて仏様のお姿に見え、拝まずにはいられなかったのです。

 また日蓮大聖人は『顕仏未来記』で「かの二十四字とこの五字と、その語ことなりといえどもその意(こころ)これ同じ」とおっしゃり、このお坊さんは「私はあなたを敬います。決して軽蔑しません。なぜならあなたは修行をして仏様になることが出来るからです」という漢字で書くと二十四文字を広めましたが、この言葉と南無妙法蓮華経のお題目とは言葉は違うけれども、その心は同じなんだとおっしゃっております。

 つまり私達の修行とは南無妙法蓮華経のお題目を自らが唱えることはもちろん他の人に「伝える」ということです。不軽菩薩のように赤の他人に伝えることは難しいかもしれません。しかし、お子さんやお孫さんに伝えることは出来るかもしれません。不軽菩薩のように石を投げつけられたり棒で叩かれたりすることはまず無いと思います。でも、お題目を唱えなさいと言ったら少しはいやな顔をされたり煙たがられるかもしれません。それでもこの不軽菩薩のようにあきらめずに根気よくお題目を伝えることが私達の修行です。どうかこのお題目をご縁のあるお子さん、お孫さん、親類、友人と身近にいる人達からお題目の輪を広めていただきたいと思います。

南無妙法蓮華経

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