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「感謝の気持ちを」

記事:布教師 南山円洸

 子供たちは休校・休園、大人たちは在宅勤務で一日中家にいる外出自粛の日々、自宅で3回食事をする人が大幅に増えました。

 お母さん(ご家庭によってはお父さんであったり、祖父母であったり)は家族の食事の用意で、買い物の回数を減らしたうえに、大量の食材を購入しなければなりません。家事労働は年収に置き換えると約360万円に相当する重労働だそうです。

 その家事で一番大変なのが食事の支度。

 1日3食分の献立を考え買い物、家族全員分のご飯を作り、家族全員分の食器を洗う。ステイホームで家族の食事の総量が増え、それがかなりの負担になっているようです。

 そんな激務を毎日目立たぬ場所で、誰の称賛も浴びずに黙々とこなされているお母さんに感謝の言葉を言えていますか?

 お坊さんの唱える食前のことばに「天の三光に身を温め、地の五穀に精神(たましい)を養う。これみな本仏の慈悲なり」とあります。つまり、この地上に生を受け、天地の恵みを受け、人間として活かされていることを仏様に感謝するのです。

 皆さんも食前は食材が持っていた命に対する感謝の気持ちを表し、「いただきます」と言われていると思います。

 食べ物の命はもちろんですが、その食材を作ってくれている農家のかたや食材を売ってくださる店のかたなどすべて食事をとる人の為に自分の時間を削って下さっています。自分の時間を削るということは、自分の命を削ることと同じ事なのです。

 その中でも最も身近で自分たちのために命を削っているのは日々食事を用意してくれているお母さん。私たちは食事を食べるごとにお母さんの命の時間をいただいているのです。

 ですからその命に対して心を込めて感謝の言葉を伝えなければなりません。言葉も大切ですがその感情を表現することで感謝の気持ちはなお一層伝わるのではないでしょうか?

 日蓮大聖人は、『上野殿御消息』に、        
「親によき物を與へんと思て、せめてする事なくば一日に二三度笑て向かへと也」と仰せです。
(親に何か良い物をあげようと思って、何もあげるものはなくても、一日に二、三回微笑みかけてあげなさい。それだけで、親を思うあなたの気持ちは充分に伝わる)

 自分の命の時間を使って苦労して食事を作ってくれるお母さんに感謝の気持ちを忘れないよう心を込めて、笑顔で「いただきます」「ごちそうさま」と感謝の言葉を伝えましょう。それがなにより一番嬉しく、励みになるのではないでしょうか?

 それができれば今度は感謝の気持ちを形に表しましょう。それが合掌であり、南無妙法蓮華経のお題目なのです。口は命の入り口です。その口から入るすべての命に感謝の心を持って、手を合わせ、お題目をお唱えしましょう。

南無妙法蓮華経

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