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家族を導く善知識

記事:布教師 藤井 聡達

御会式の時期ですが、東京池上の本門寺が日蓮大聖人(にちれんだいしょうにん)ご入滅の聖地であることは周知の事実です。その本門寺の開基檀越(かいきだんのつ)である池上氏の兄弟宗仲(むねなか)・宗長(むねなが)は、念仏信者であった父との確執から兄が勘当を受け、それにより弟の法華経信仰も揺らぐ一時期がありました。その際、日蓮大聖人は何通ものお手紙によって兄弟をはげまされ、兄弟とその夫人が異体同心、力を合わせて父親を諌(いさ)め、ついに法華経の信仰に導き入れたことは、これ又つとに有名な史実です。

この池上兄弟を語る上でいつも想起されるのが、法華経『妙荘厳王本事品(みょうしょうごんのうほんじほん)第二十七』に登場する浄蔵(じょうぞう)・浄眼(じょうげん)の兄弟のことです。
過去世のこと、宿王仏の教えに帰依していた浄蔵・浄眼は、外道の信者である父、妙荘厳王を引導するにつき、母の助言により種々の神変を現わし、ついに父王を仏の許に赴(ゆ)かせ、出家させ、三昧(さんまい)を得させたという物語です。
池上宗仲・宗長の兄弟と、浄蔵・浄眼の兄弟の共通点は、正法を説き、父を仏道に導きいれた善知識(ぜんちしき)であるという点です。この最も困難であろう家族の教化(きょうけ)に成功した鍵は何だったのでしょう。

池上兄弟の場合、大聖人のお言葉に力を得て、父を「正論で強く諌め」、そして親子で口角泡を飛ばすこともあったでしょう。しかし、その法論のみが父親を改心させる要因ではなかったはずです。兄弟夫婦でご本尊に向い、一心に「南無妙法蓮華経」とお唱えする真剣な信仰態度が、父に信仰を得心させる下地になったものと考えます。
また、浄蔵・浄眼の場合であれば、「種々の神変を現わす」とは、文字通り超常現象(オカルト)などではなく、浄蔵・浄眼の兄弟が宿王仏の教化によって奇跡的な人格の成長を遂げ、父王を喜ばせ、信用させたことを意味しているものと考えます。

「邪智謗法(じゃちほうぼう)の者多き時は折伏(しゃくぶく)を前(さき)とす」との大聖人のご指南の通り、末法悪世の現代社会において、お題目を弘(ひろ)める方法は折伏に限ります。ただ折伏とは、なにも喧嘩腰で正しさを主張するだけではありません。特に親子関係、家庭内にあっては、正論だけでは通じないのが常です。身近な人を導く場合には、お題目を信仰する者が人間として成長し、慈悲の心で相手に接することが、何にも増して教化成功の鍵になるものと確信します。
{折伏を敬遠していては善知識になれない/神変(奇跡)を現わせなくては善知識になれない/人間として成長しなければ善知識になれない/慈悲の心を持たなければ善知識になれない→すると今の私は家族の善知識たり得ているだろうか?}…自分につぶやきながら結びといたします。

南無妙法蓮華経

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