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「『本心』を取り戻す」

記事:布教師 広瀬 行宣

 震災発生以来、一年を迎えようとしています。

 当時、テレビから流れてくる映像に心痛め、被災者、犠牲になられた方々にという思いは、日本国民ばかりか海外の人からも支援という形で伝えられました。

 しかし、時間の経過と共に、私達はその思いを忘れ去ろうとしています。この震災の根本原因はどこにあるのか、自然現象で収まらない何かが起因となってはいないか。

 そこに、お釈迦様の智慧を拝借しますと、仏教は因果によって物事を観ます。原因もなく結果はありません。法華経にのみ説かれる「一念三千」の法門は、お釈迦様の悟り(智慧の結集)であります。この「一念三千」の中に三種の世間があり、「衆生世間」「五陰世間」「国土世間」の三つの世間があると説かれています。「五陰世間」とは、心と体のことですから個人と考えて結構です。個人が集まると「衆生世間」となります。衆生は、国土という器の中で暮らしていますから、この器の中で自己の欲を満たすために、争いを起こし、利権を貪ることは、器の中で秩序なく暴れているのと同じです。そうなれば、器は壊れ私たちに報いを与えることになります。これを因果応報と言い、私たちの「一念(心)が三千(環境)」に影響を及ぼし、因果となって現象が起こるのであります。

 東京都知事の石原慎太郎氏は、今回の震災を天災ではなく、人災であると発言されました。法華経の「一念三千」の法門に照らし合わせれば、正しく人災以外の何物でもありません。

 福島の原発の問題も、利益を生むという利害で、人体に悪影響を及ぼす原子力というものを承知で稼働させ、震災に依って被害が生じたと、すり替えて現在停止している原発を再稼働させようとしています。これは、本来犯してはならない因果を壊した結果が悲惨な状況を生んでいるのです。

 地球温暖化も、大きな課題とされていますが、地球の環境を乱したのは誰か、その根本原因は何か、その問題を解決しない限り同じような問題は必ず生じてきます。

 そのために、お釈迦様は「一念三千」という法門を私たちに残して下さり、日蓮聖人に「お題目」という良薬として授けて下さったのであります。

 「一念三千を識らざる者には、仏大慈悲を起し、五字の内に此珠(一念三千)を裹み、末代幼稚の頸に懸さしめたまふ」

 悪因悪果を善因善果に変える事ができるのは、「お題目」であり、実践実行できるのは私達以外にはないのです。


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