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「一年で一番暑い日と寒い日に」

記事:布教師 木村 良勢

 最近はややもすれば、葬儀しか寺院や僧侶の役目は無いと言い切られる風潮になってきました。確かに信者・檀家という関係におられる方とはそれ以外にもお会いする機会はあるのですが、そうでない方々には中々お会いする機会もありません。

 しかし一年を通して唯一といいますか2度ほどお会いできる修行がありますので、ご紹介いたしましょう。

 その修行とは一年で一番寒いとされる大寒の時期に行う「寒修行」と一年で一番暑いと言われている夏の土用の時期に行う「土用修行」です。

 この修行のうち知名度が高いのは寒修行でしょうか。よくニュース等で格闘技を習っている方々が身も凍るような海や川の中で稽古されている姿が報道されていると思います。 これは冷水を浴びて神仏に祈願する『寒垢離(かんごり)』が由来とされています。

  私の寺で行っている修行は寒も土用も修行方法に違いはありません。 寒修行は1月第一週から2月の節分まで、土用修行は7月下旬から8月7日までの期間で、うちわ太鼓を叩きながら民家を巡って題目を唱える『題目修行』を行います。 そしてこの修行が最も特徴的なのは檀家・信者の有志も行衣(ぎょうえ)という白い上着を着用し僧俗共にこの修行に参加するという点です。

 大体4人1組となり、一軒一軒民家の軒先でうちわ太鼓を叩き自我偈と題目をお唱えします。心ある方は玄関の戸を開け放ち我々が立ち去るまで合掌していただけたり、布施を包んでいただいたり、中には寒には温かい飲み物を土用には冷たい飲み物を振舞っていただける方もいらっしゃいます。こういう方々にお会いしますと、我々が信仰している法華経お題目は有難いものだなと感じます。

 もちろん修行ですので、楽しいことだけが起きるわけではありません。一軒一軒の家を回りますので、様々な人がいます。いきなり怒鳴り散らす方や怪訝そうな顔をして投げ捨てるように布施を出す人、普段お見かけしない帰省されたお子様やお孫さんに注意されることもあります。 また、生活環境の変化も題目修行を難しくさせます。例えばマンションが建ち各戸に回ることができないようになってきました。また、玄関に門扉やガレージができてお家が立派になり、2世帯住宅に改築され太鼓の音が家の中に届かなくなくなってきました。

  また、時代の変化とともに寒・土用修行を取りやめる寺院も増え、そのスタイルが古いものとなってきました。騒音を起こす太鼓を打つことや、行衣が異端のものとみなされる時代になったようです。 寒・土用修行は自分自身の罪障消滅の修行法です。法華経の縁を結ぶ、結縁の大切な自行化他の修行です。 お布施で集まった浄財は法華経のために役立てることにより、布施された方のために功徳を積むことになります。

 一年で一番暑い日と寒い日に耳を澄ませていただければ、我々のうちわ太鼓の音が聞こえるかもしれません。


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